ポエトリー・ナイトフライト

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zoom RSS 「ポエトリー・ナイトフライト」第1回レポート

<<   作成日時 : 2015/08/29 00:17   >>

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「ポエトリー・ナイトフライト」第1回

2015年8月27日(木)
会場:VOXhall
ゲスト:文月悠光(詩人)

来場者:16名
エントリー:10名

(敬称略/朗読順)

川原寝太郎
水銀
素潜り旬
飛火野椿
たあな
ゲンヤ
山本大地
木咲更紗
さんま
澤村貴弘


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緊張している。
それはもう、えらく緊張している。
これまで、谷川俊太郎さんと共演しようが、
数千人規模のステージに立とうが、
パリやミラノだろうが、
とりたてて緊張しない30年間を歩んできた。
強いていえば緊張するのはMCバトルの出番前と、
デリヘルを待っているあいだだけだとおもっていたけれど、
今度からはそこに「オープンマイクの主催」もくわえて
人生三大緊張と名づけたい。

17時半ごろ、VOXhallへ。
イベントの規模的な理由からステージではなく、
バーカウンターのスペースで行うので簡単な設営。
といっても、店長のまこちん(有堀誠)がほとんどやってくれる。
このハコとのつきあいも10年を超えたので、安心感たるや実家の比ではない。
ただ、緊張はする。18時すぎ、さっそくビール。
18時半前になってゲストの文月さんが到着。
おもえばお会いするのは2年半ぶり2度目なのだが、
個人的にはもうちょっと何度も密に会っているかんじがする。
(ネット上では彼女が中学生時代から、そろそろ10年近く知っている計算ではある)

19時、オープン。
ライブでの前売りチケットや取り置きとはシステムがちがうので、
事前に「だいたい何人くらいくるだろう」という予測がまったく立てられない。
おもえば緊張の大部分はこの点に拠っていて、
しかもライブなら最悪お客がゼロ人でも進行できるが、
オープンマイクだといくらひとが入っていても朗読者がいなければ
そもそもイベント自体が成り立たない。
いちおう、事前エントリーは受付けていて、
何人かから連絡はもらっているものの、
詩人という人種に「口約束の履行」を求めるのは少々酷なものだ。
それでも、ちらほらと来場がつづき、20時前にはスペースは8割がた埋まる。
緊張はとけるも、この時点ですでに焼酎に切り替えている。

定刻をすこし押して、前説からスタート。
オープンマイクで、しかもイベントとしての初回の一番手というのは
往々にしてやりづらいものだという体験的な実感があったので、
主催者責任として、オープニングアクトで1編読む。
「名前のない星」という詩。


 人は人として立ち
 人として流れ
 そのどこかで誰かの物語に
 しまいこまれることを
 よしとしない
 そのほうがいい
 それくらいでないと
 きみがきみを見つけるより先に
 死がきみを見つけてしまうだろう



ここからは、朗読者に対する簡単な印象を記す。
旧知もいれば初対面の方もいるのでなるべく失礼にならないように、とはおもうが
万が一やや辛いことを書いている場合は、相手がよく知っているひとだと判断してください。
なお、テキストの題名や内容は聴きとりなので細かい部分、特に漢字/カナ表記は忠実でないとおもわれます。

また、実際のイベントの流れとしては、
第一部(6名)と第二部(飛び入り4名)のあいだにゲストの文月さんの朗読が、
そして第二部冒頭でchoriの即興詩(お題「テキーラ」「フリーズドライのネギ」「千鳥」「箱根の黒たまご」)があったのですが、
ここではオープンマイク参加者の感想をつづけて書きます。



【川原寝太郎】

平居謙の詩のボクシング講座出身。
学生時代から「チーム・マグロ」「アロエ研究会」など
さまざまな環境で朗読してきた若き古株も当年とって34歳。
個人的には音楽(バンドマン)に対するほど詩人に「戦友」意識はないのだが、
彼の場合はとかく圭角の多い人種のなかにあって数少ない常識人のせいか
戦友、とまではいわずともそれに近い感情がある。
「スラッシュ」など2編を朗読。
早口のリフレインや文字量の多いテキスト×複数の話者を演じ分けるうえで
彼の滑舌の悪さとこもりがちな声質というのは致命的なのだが、
10年選手ともなるとどこか風格みたいなものが出る。
弱点転じてある意味愛嬌。
もっとも、もうちょっとばかし、舞台度胸がほしいとはおもうのだが。

【水銀】

20代後半の女性。
彼女がまだ10代のころから面識はあったのだが、
実際に朗読を聴く(観る)のははじめてかもしれない。
「海坊主」という詩など、短いものを数編。
ラストではテキストの内容にあわせて突然服を脱ぎ、ビキニ姿に。
むかしはときおりこういうことをする女性詩人がいたのだが、
最近はあまり聞かなかったので、すこし意外だった。
撮影係のまこちんが「(これ、撮っていいの?)」という顔をしていたので
「いいんです!」と川平慈英のように答えた。

【素潜り旬】

23歳の男性。
なのだが、風貌は「探偵物語」なんかに出てきそうな、完全なる昭和。
そして30代半ばといわれても通用しそうな渋さと「タダモノではない感」がある。
テキストもいきなり「太陽にほえろ!」のジーパン刑事の名台詞を織りこんだり、
ダダイズムに関する言及など、見た目と内容との違和感のなさ、
演者としての空気づくりが素人ではない。
どうやら、展示なども行うクリエイターのもよう。
朗読体験を聴きそびれたが、これは端的にいって「お金をとれる朗読」だとおもった。
いずれ20分、30分といった尺でのステージも観てみたいな、とおもわされた。

【飛火野椿】

かつては「椿」名義でALL WORDS COA PROJECTという
全国規模のポエトリー・リーディングのイベントを主催していた男性。
AWC自体は往時ほどの頻度、規模では行われなくなったが、
いまでも東北や沖縄など各地で継承されているとのこと。
本人がなぜか「29歳や!」と主張するので29歳ということにしておくが、
まあ、なんというか、十数回目の29歳である。
座りでの朗読(そういえば、この日は彼だけが座りであとはみんな立ちだった)。
椿さんのテキストは全体的に「社会派」というよりはプロレタリアで、
生活、日常の範囲から徐々に発想を敷衍してゆくという傾向。
派手さやケレン味とは程遠いが、こういう詩人がひとりいると場が締まる。

【たあな】

ジャケット姿の、若い男性。
みじかい詩をいくつか。
前半戦、脱ぐ女の子だったり松田優作みたいな男の子だったり、
ヴィジュアル的に濃いキャラクターが続いたため、印象としては淡いが、
へんな言い方ながら、とても詩を大切にしている、というか、
とても詩を必要としているひとだ、と感じた。
丁寧に詠みあげられるテキストには素直に好感が持てるし、
これもまた、詩との関わり方におけるひとつの正解なのだとおもう。

【ゲンヤ】

東京からやってきた、24歳の女性。
彼女は、自分でいうのも面映ゆいがchoriファンを公言していて、
まあそれがときにはうっとうしく、ときには面倒くさいのだが、
(そしてこれまでに何度か観たパフォーマンスの質的な低さが、
公然と「choriファン」を名乗られることへのかすかな忌避感でもあった)
この夜の朗読は、「お、すこしトンネルを抜けたかな」という印象だった。
もともと滑舌は悪くないのだが、無理をして詰め込んだ早口のテキストには合わない。
怖いもの知らずではあるが、舞台度胸のあるタイプでもない。
とはいえ、自分の「間」というものをようやく掴みはじめかけたかな、とおもった。

【山本大地】

23歳の男性。
風貌がラッパーのACEに似ていて「かっこいいなあ」とおもっていたら、
パフォーマンスもラップ寄りのスポークン・ワーズだった。
飛び入りエントリーにもかかわらず、場慣れはしている印象。
脚韻と頭韻をつなげたりしながら小節にとらわれずグルーヴをつくっていくのは
やはり2010年代の日本語ヒップホップの主流だなあ、とおもう。
テキストの内容がどうというより、「音楽としてのことば」が実に気持ちいい。
どうやらとあるハコのオーナーの息子さんのようで、
いろいろなところでつながるものだなあ、と感慨深くもあり。
そういえば、終演後、彼とフリースタイルしようとひそかにおもっていたのに、
のみすぎて忘れた。反省(話はいろいろできた)。

【木咲更紗】

女性。
大阪の朗読会界隈で何度かお会いしたことがあり、
椿さんとの「ザ・大阪」な丁々発止のかけあいが今夜もまた。
会場に着いてから書いたという新作をふくむ2編を朗読。
彼女の詩は、キャラクターやふだんの言動のインパクトからすると
むしろ淡泊ともいえるほど正統派に近いところにあるのだが、
そういうギャップというのは意外と耳には残らなくても記憶に残る。
ある意味ではエヴァーグリーンな、詩人らしい詩人。

【さんま】

20代前半の女性。
詩ではなく、すきだという作家の小説の一節を朗読。
(作者名やタイトルを訊きそびれてしまった)
よくよく考えたら、この夜の10名中、自作でなかったのは彼女だけなのだが、
むかしのオープンマイクではカヴァーや詩以外の朗読もめずらしくなかった、とおもいだす。
そもそも「詩の」オープンマイクという位置づけではじめたイベントではないので
(といいながら「ポエトリー・ナイトフライト」ではあるが)個人的にはうれしかった。
そして、飛び入りエントリーでも、朗読したくなるほどすきな作品をもつことの幸せよ。
朗読経験はさほどなさそうだったが、地に足のついた丁寧なパフォーマンスだった。

【澤村貴弘】

23歳の男性。
素潜り旬、山本大地、そして彼は連れだってきてくれていた。
前のふたりが外見でもかなり強烈なインパクトがあったのとくらべて、
彼はメガネに長袖シャツ、短パンといたって普通の風貌。
ただ、朗読した3編のみじかいテキストにはいずれも「業」みたいなものがあった。
短詩というより訓み下した漢詩のような語調、語感、情景のあわい。
まったくもってキャラクターの異なる3人が仲良しなのもふしぎな光景だったが、
実はこのひとがいちばんふかい闇(いい意味です)を抱えているのではないだろうか、とふと感じさせる。
トリっぽくないといえばそうかもしれないが、こういうタイプ、関西の詩人にはあまり多くないので個人的にはちょっぴりうれしかった。





総括として。

飛び入りエントリーのおかげもあって、
初回の朗読者は10名と、まずまず順調な滑り出しとなった。
遠方からの参加や、面識のない来場者も多くバラエティに富んでおり、
また朗読経験としても10年クラスのベテランからほぼ初心者まで幅広く。
テキストの内容、パフォーマンスの傾向としても、
お笑い系、正統派、言葉遊び、ラップ、詩以外の朗読など
ほとんどありとあらゆる種類の表現に接することができたので
主催者としてこれほどうれしいことはありません。
(あと出てきてないのはエチュードっぽいものや歌、即興くらいかな)

今後のスケジュールを最後に記すとともに、
参加者への感謝をもって、このレポートを終えたいとおもいます。
みなさま、ありがとうございました!



「ポエトリー・ナイトフライト」開催日程

2015年
9月24日(木) ゲスト:植村純子(劇団衛星プロデューサー)
10月22日(木) ゲスト:チプルソ(ラッパー/トラックメーカー)
11月26日(木) ゲスト:未定
12月24日(木) ゲスト:未定

2016年
1月28日(木) ゲスト:未定

以下、継続予定





 

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